ドイツの首都であるベルリンは、有名なベルリンの壁からブランデンブルク門、虐殺されたユダヤ人のための記念碑、チェックポイントチャーリー、ベルリン大聖堂と見どころがたくさんです。
ベルリン観光の必要日数の目安は2日と言われています。しかし、ドイツの他の都市を観光する予定もあって1泊しか滞在できないという人も多いはず。
そこで、本記事は、ベルリンの主要な観光スポットを半日で巡った私のモデルコースをご紹介します。あくまで私が実際に観光した時のコースを参考にしています。私見が多く含まれている点はご容赦ください。
ベルリン中央駅からのスタートを想定しています。
- ドイツのベルリンはアートと歴史的建造物が多く残る重要都市!
- 東西ドイツの分断などの20世紀における激動の歴史は見所の1つ!
- 有名スポットを抑えつつも半日でベルリンを巡る観光のモデルコースを紹介!
本ページは2024年7月時点の情報に基づいています。実際に往訪される際は各施設のHPで最新情報をご確認ください。
ベルリンの主要観光スポットを半日で巡るために
ベルリンの観光には通常2〜3日かかりますが、今回は限られた半日で主要スポットを効率よく巡ります。特に20世紀の東西ドイツ分断の歴史に焦点を当てたコースです。
ベルリンを半日で周るための観光モデルコース
今回の旅のモデルコースを紹介します。ベルリン中央駅からスタートして、全部で7箇所の主要な観光スポットを巡ります。途中にベルリンのお土産に最適なアンペルマンショップも含めました。
今回は20世紀の歴史をテーマにしているため、以下の有名スポットは省略しましたが、時間があれば訪れることをおすすめします。
- シャルロッテンブルク宮殿(建てられたのは17世紀と更に昔のため省略)
- ペルガモン博物館(古代の歴史に興味があれば良いけど、今回の趣旨とマッチしないため省略)
- テレビ塔(映えスポットに過ぎないので省略)
- ベルリン動物園(今回の旅行の目的と異なるので省略)
電車やバスは24時間乗車券の購入がおすすめ!
ベルリン観光には公共交通機関の利用が必須です。観光スポットが離れているため、バスや電車の利用が多くなります。バス、電車、トラムは同じ乗車チケットを使い回すことができます。そのため、1回ごとに購入するよりも24時間乗車券を購入する方が経済的です。
ベルリン大聖堂:迫力満点のプロテスタントの教会
まずは、ベルリン中央駅から地下鉄で10分で行ける、緑色のドームがとても美しいプロテスタント系の教会:ベルリン大聖堂へ向かいます。ドイツ帝国の皇帝を輩出したホーエンツォレルン王家の教会で、地下には大規模な墓所があります。
昔はその場で当日券が購入できましたが、行列になっていることがあるため、事前にオンラインからチケットを購入しておくことをお勧めします。なお、スーツケースは大聖堂内に持ち込めないため、大聖堂近くのコインロッカーに保管してください。ただし、いっぱいになっている可能性があるため、ベルリン中央駅のコインロッカーをお勧めします。
第二次世界大戦で被害を受けた天蓋
ベルリンは第二次世界大戦で甚大な被害を受けた都市の1つです。ベルリン大聖堂の114メートルの高さを誇る天蓋も被害を受けたものの、その後の再建により現在の姿となりました。
この天蓋ですが、実は登ることができます。エレベーターがないため、270段もの階段を登る必要がありますが、天蓋の外に出ることができて360度の美しい景色を眺めることができます。
キリストの一生が描かれた素敵な主祭壇
主祭壇のステンドグラスに描かれた絵画がとても素敵でした。大きな3枚のステンドグラスはイエス・キリストの一生が描かれています。
- 左:聖母マリアに抱えられるキリスト(キリストの誕生)
- 中央:十字架にかけられるキリスト(キリストの磔刑図)
- 右:復活したキリストが天に昇る様子(キリストの昇天)
ホーエンツォレルン家の墓所は改修工事中
ベルリン大聖堂は前述の通り、ホーエンツォレルン家の教会でもありました。そのため地下にはホーエンツォレルン家の墓所が広がっています。本来はここも見学できますが、2020年3月1日より地下聖堂では改修工事が行われています。
私が訪れた時は残念ながら地下聖堂には入れませんでした。事前に公式HPで確認することをお勧めします。
イーストサイドギャラリー:独裁者のキス、日本地区への迂回路
次にベルリン大聖堂からバス(300番)でイーストサイドギャラリーに向かいます。
イーストサイドギャラリーは、全長1.3kmのベルリンの壁の残骸に描かれた絵画のギャラリーです。ここに絵画が絵がれたのは1990年で、ベルリンの壁の崩壊は1989年11月9日。世界中の118人のアーティストにより描かれました。
数ある絵画の中で最も有名な絵が上の写真「独裁者のキス」です。旧東ドイツのエーリッヒ・ホーネッカー書記長と旧ソ連のレオニード・ブレジネフ書記長がキスをしている姿を描いたものです。当時の東ドイツと旧ソ連の緊密さを皮肉って描かれました。
余談ですが、史実として、2人は実際にキスをしていて写真も実在します。当時のソ連は、男性同士が挨拶代わりにキスをすることが一般的な習慣でした。
- 場所:Mühlenstraße 3-100, 10243 Berlin, Germany
- 営業時間:24時間
- 定休日:なし
- 入場料:なし
- 観光の所要時間:30分程度
- 施設のHP:http://www.eastsidegallery-berlin.com
壁の西側には何が描かれている?
ベルリンの壁の東側(イーストサイド)に描かれているので「イーストサイドギャラリー」です。
では、反対の西側には何が描かれているのでしょうか?
イーストサイドギャラリーは、所々に壁の切れ目があるので、反対の西側(ウエストサイド)の様子を見ることができます。
ただ、ウエストサイドギャラリーは、絵画というよりも単なる落書き。見る人が見れば違うのかもしれませんが、私には落書きにしか見えませんでした(笑)。西側よりも東側の方が断然面白かったです。
ベルリンの壁はめっちゃ薄い!
「ベルリンの壁は東西を厳格に分断する壁だから、とても重厚な造りに違いない!」ベルリンを訪れるまで、私もそう思っていました。
しかし、実際に壁の境目を見ると、あまりの薄さにびっくりします!
ベルリンの壁が崩壊した当時、住人が重機やハンマーで壁を破壊している様子が世界中で放送されていましたが、人の手で簡単に壁が壊せるのも納得できる薄さです。
「何でこんなに薄い壁だったの?」と疑問を持たれた方がいらっしゃるかもしれません。
今のベルリンの壁は数kmの残骸ですが、当時は全長155kmにも及ぶ大変な大工事でした。残念ながら当時の東ドイツに重厚な壁を建設する時間と余裕はなく、この厚さになってしまいました。余談ですが、初期のベルリンの壁は今よりも貧相で場所によっては有刺鉄線だけの所もあったそうです。
日本をテーマにした絵画
イーストサイドギャラリーには日本をテーマにした絵画があります。
題名は「日本地区への迂回路(Umleitung in den japanischen Sektor)」。富士山や五重塔、日の丸が描かれた日本らしい壁画で、必見の絵画の1つです。
この絵を描いたのはベルリンで活動するアーティストのトーマス・クリンゲンシュタインさん。日本に旅行したいという彼の子供の頃の夢を元にしていて、いつかベルリンの壁が開き、日本へ自由に旅行できる日を願って描かれました。
イーストサイドギャラリーの絵は一度描き直されている
イーストサイドギャラリーの絵が描かれたのは1990年です。しかし、野ざらしになっていたことや落書きによる壁画の劣化が激しく、2009年に全面的に描き直しがされています。
劣化が激しくて、修復というよりも真っ白のキャンパスに絵を描き直す程の作業だったとか。そのため、最初のオリジナルに比べて色合いが変化している絵画が多いそうです。
チェックポイントチャーリー:お隣の博物館も必見
次に向かうのが「チェックポイントチャーリー」です。イーストサイドギャラリーから265番バスで35分の距離にあります。
チェックポイントチャーリーは、東ベルリンと西ベルリンを分断する国境検問所です。
「チャーリー」はアルファベットの3番目にあたる「C」の意味。当時はベルリン市内に「A」にあたるチェックポイント・アルファと「B」にあたるチェックポイント・ブラボーが存在していました。
しかし、ベルリンの壁崩壊に伴い、現在も残っているのはチェックポイント・チャーリーだけです。
ベルリンの壁の跡を示すレンガのオブジェ
国境検問所ですので、当時、チェックポイントチャーリーの周りにはベルリンの壁がありました。しかし、現在では壁は取り壊されており、代わりに壁があった地面には煉瓦のオブジェクトが埋め込まれています。
これが見られるのは、フリードリッヒ通りを北に進み、最初の交差点を超えたあたりです。銅板のプレートに刻まれている「BERLINER MAUER」はドイツ語でベルリンの壁の意味です。
チェックポイント・チャーリー博物館
復元された検問所の隣には博物館があります。高めの入場料金のためスキップする人も多いですが、見学することを強くお勧めします。
主にベルリンが東西に分断されていた頃の展示がされていて、実際に東ドイツから西ドイツへ亡命した事例が詳しく紹介されています。特に、実施に使われた亡命用の改造車や旅行ケースも展示されていて、とても楽しめました。
ここの博物館は常に展示内容のアップデートが図られており、現在ではロシアによるウクライナ侵攻に関する物も展示されています。特に印象的だったのが、銃撃で穴だらけになってしまった自動車です。未だにこんな戦いが起きているのかと、なんとも切ない気持ちになりました。
事前にチケットを購入せずに休日に訪れましたが、待ち時間の発生はありませんでした。€5の追加料金を支払うと館内で写真撮影もできます。
- 場所:Friedrichstraße 43-45, 10969 Berlin, Germany
- 営業時間:10時00分〜20時00分(ミュージアムの営業時間)
- 定休日:なし
- 観光の所要時間:2時間(ただし、じっくり見るなら半日は必要)
- お店のHP:http://www.mauermuseum.de/
東ドイツ生まれのマスコット「アンペルマンショップ」
チェックポイントチャーリーからベルリンの地下鉄で5分ほど移動すると、アンペルマンショップにたどり着きます。アンペルマンとは旧東ドイツの信号機に使われていた人の形をしたマスコットキャラクター。1961年誕生で1970年には東ドイツ中で歩行者用の信号として使われました。
東西ドイツが統合された時に、西ドイツの信号機に統一する案もあったそうですが、アンペルマンに親しみを感じてきた人々により「アンペルマンを救え!」という運動が起こりました。
結果、アンペルマンが復活!現在ではベルリン市内の全ての歩行者用信号機に採用されています。
とてもかわいいマスコットキャラクターなので、ベルリンのお土産としておすすめです!ただし、お値段は少し高めなので買い過ぎにご注意を。
日本を舞台にしたアンペルマンの公式PV動画
アンペルマンが来日したときの動画が公式サイトに挙げられていました。
駅のプラットホームで駅の乗務員に声をかけられる様子など、とてもシュールな動画です。お店でもこの動画が流れていました。アンペルマンショップに立ち寄った際は、ぜひご覧ください。
- 場所:Unter den Linden 35, 10117 Berlin, Germany
- 営業時間:10時00分〜21時00分(日曜は13時00分〜18時00分)
- 定休日:なし
- 観光の所要時間:15分程度
- お店のHP:アンペルマンショップ
虐殺されたヨーロッパのユダヤ人のための記念碑
アンペルマンショップから12分ほど歩くと、ホロコーストの犠牲になったユダヤ人のための記念碑が見えてきます。開設されたのは2005年でアメリカ在住のピーター・アイゼンマンにより設計されました。
入り口では、足のひざぐらいの高さしかない石碑ですが、奥に行くほど高くなり、最後は自分の身長を軽々と超えてきます。通路も狭く無機質な石碑が淡々と並んでいます。
ぜひ、入り口だけでなく、奥まで進みんで見ることをおすすめします。石碑の威圧感により押し潰されそうな印象を受け、不安と恐怖を覚えました。
私が訪れた時はお花も手向けられていました。とても悲しい場所ですが、ベルリンを観光する上で欠かせないスポットの1つです。
- 場所:Cora-Berliner-Straße 1, 10117 Berlin, Germany
- 営業時間:24時間
- 定休日:なし
- 入場料:なし
- 観光の所要時間:15分程度
- 施設のHP:https://www.stiftung-denkmal.de/
ブランデンブルク門:東西ドイツ分断の象徴
虐殺されたヨーロッパのユダヤ人のための記念碑から徒歩5分で「ブランデンブルク門」です。ベルリンといえばブランデンブルク門を思い浮かべる人も多いはず。
ブランデンブルク門は、休日平日を問わず、ひっきりなしに観光客が訪れる人気スポットです。
- 場所:Pariser Platz, 10117 Berlin, Germany
- 営業時間:24時間
- 定休日:なし
- 入場料:なし
- 観光の所要時間:10分程度
- 施設のHP:ブランデンブルク門
18世紀後半に税関門として建設
ブランデンブルク門が建設されたのは18世紀後半。当時のプロイセンの王様であるフリードリヒ・ヴィルヘルム2世の命により建設されました。この頃のベルリンは城塞都市で、ブランデンブルク門は税関門としての役割を担っていました。
ブランデンブルク門が東西ドイツ統合の象徴と言われる理由
そして、時は流れて第二次世界大戦が終わった後。ドイツは西ドイツと東ドイツに分断されました。
このとき、ブランデンブルク門は東ドイツに属していましたが、門の目と鼻の先が東西の境界線となったため、通過できず先に進めない行き止まりとなってしまいました。
そんな、ブランデンブルク門が本来の門としての役割を取り戻したのはベルリンの壁が崩壊した時。目の前の境界線がなくなり、再び門の下を通過することができるようになりました。
そのため、ブランデンブルク門は東西ドイツ統合の象徴と言われています。
ユーロ硬貨に描かれたブランデンブルク門
実は通貨のユーロ硬貨は同じユーロ圏内でも国によってデザインが異なります。
ドイツ発行の10セント、20セント、50セントのユーロ硬貨のデザインはブランデンブルク門。東西ドイツ統合の象徴として地元の人にも愛されています。なお、デザインが異なるのはコインだけで紙幣は共通のデザインとなっています。
夜は人が少なく夜景がきれい!
ブランデンブルク門は日中に訪れるのも良いですが、夜はライトアップがされていて、とても美しい眺めが望めます。日中に比べると人混みも解消されているので、夜に訪れてみるのもおすすめです。
ただし、防犯のためにも、あまり人気がない場所に行きすぎないようにご注意ください。
カイザー・ヴィルヘルム記念教会
ブランデンブルク門から100番バスで20分ほど移動すると、ベルリンの西側にある教会「カイザー・ヴィルヘルム記念協会」に辿り着きます。青色のステンドグラスで有名なベルリンの教会です。
全く様子の異なる新旧2つの教会が並んで建てられています。なお、写真の後ろ側の塔が古い教会で、手前の六角形のような建物が新しく建てられた教会です。
元々の古い教会は初代ドイツ皇帝であったヴィルヘルム1世を追悼する目的で、ヴィルヘルム2世の命により建てられました。しかし、その後の第2次世界大戦中に空襲を受けて崩壊、現在では戦争の戦禍と平和を祈るモニュメントとして残っています。
そして、手前にある新しい教会ができたのは1961年。他では見られないユニークな構造をしていて、青色に光るステンドグラスが特徴的です。
なお、旧教会は塔跡記念館としてとても美しいモザイク画が見られます。所々に補修の跡が見られ当時の空襲の激しさを物語っていました。
- 場所:Breitscheidplatz, 10789 Berlin, Germany
- 営業時間:10時00分〜18時00分
- 定休日:なし
- 入場料:なし。予約不要です。
- 観光の所要時間:30分
- お店のHP:http://gedaechtniskirche-berlin.de/
内部の様子が分かりやすいYoutube動画
Youtubeにカイザー・ヴィルヘルム記念教会を観光した時の動画が上がっていたので紹介します。
見所を抑えていて、とても分かりやすい動画でした。
ベルリン中央駅に戻る
カイザー・ヴィルヘルム記念教会を見終わった後は、ベルリン地下鉄に乗って12分でベルリン中央駅に戻ることができます。
ただ、私は、そのまま教会の隣りにある25アワーズホテル「25hours Hotel Bikini」に宿泊しました。ここのホテルはとってもおしゃれでサウナ付きです!
ベルリンはユニークなサウナ施設がいっぱい
今回は20世紀の東西ドイツ分断の歴史に焦点を当てた観光コースを紹介しました。ベルリンは歴史の観点でとっても重要な都市ですが、ユニークなサウナ施設もたくさんあります。
ドイツはサウナでのアウフグース発祥の国です。お時間がある方はドイツのサウナも体験してみることをお勧めします。
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